一般財団法人 本山町農業公社
当社は、地域農業を支える業務を行い、最先端技術の導入・地域食材の加工・販売力強化支援など地域農業の中心となって農家を先導して夢のある農業の実現を目指す組織です。
本山町農業公社は、農林業を中心とした地域づくりを進めることを目的に平成6年に設立された。本山町農業公社が担う業務は大きく4つ。一つ目は、農地の管理だ。田んぼの持ち主の高齢化などにより、手入れをされなくなった田んぼ「耕作放棄地」が出てきている。一度耕作放棄地となった田んぼをもう一度復活させることは容易ではない。また、そうした田んぼを増やすことは本山町の景観にも悪影響を与える。美しい棚田のある風景は、本山町の文化でもあるのだ。そんな美しい稲作文化を守るためにも、所有者から農業公社が田んぼを仮受け、耕作をしながら、次の担い手へと譲り渡す役割を果たしている。
二つ目がコメの生産事業だ。実際に借り受けた田んぼで公社自らが稲作をしてブランド米「土佐天空の郷」と酒米を育てている。三つ目が育苗事業。農家のために、野菜などを種子から苗にまで育てる業務を行なっている。最後が、特産品の普及事業だ。自社で商品開発を行ったり、県外へ営業で売り込みに出かけたりと、本山町の農作物に関わるありとあらゆることに取り組んでいる。
企業からのメッセージ
当社は、農地の流動化支援・農作業受委託・苗の生産販売・コメの生産販売・地域食材加工開発及び販売・特産品販売など農業に関連する様々な取り組みを行う組織です。
社員は10名前後で多忙な日々ですが、農家からの信頼は厚く充実した毎日をおくることができます。
また、農業就業者数が年々減少を続ける中でどのように農地を守り農業を発展させてゆくのか行政とも連携しながら地域の仕組みづくりをしてゆく重要な業務です。ぜひ、私たちと夢のある農業の実現を目指して働きましょう。やりがい・達成感は計り知れないものがあります。
企業基本情報
会社名 | 一般財団法人 本山町農業公社 |
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業種 | 特産品普及事業 |
設立 | 1994年6月 |
代表者 | 理事長:森 圭 |
事業内容 | 当社は、地域農業を支える業務を行い、最先端技術の導入・地域食材の加工・販売力強化支援など地域農業の中心となって農家を先導して、夢のある農業の実現を目指す組織です。 ■農用地利用推進事業 ・農地利用集積 農地を縮小したい方や管理できなくなった農地を借り受け、担い手農家に貸し付けを行う業務を行っています。実績として約30haの農地流動化の支援を行っています。なお、借り手のない農地約8haは自らか耕作管理し農地の荒廃を抑制する役目を担っています。 ・農作業受委託 本山町ライスセンターを基点に稲の育苗・田植え・稲刈り・乾燥・籾摺りなどの作業委託を受けています。年々作業面積が増加傾向にある業務です。 ■米生産事業 2度の食味日本一となったブランド米「土佐天空の郷」の生産から販売まで生産者組織と一緒に取り組みを展開する。生産は、年間5000袋(30kg)を目標に作付けし、全国に売り込みをかけている。また、スマート農業の展開など最先端の農業技術を取り入れ米作りを追求している。 ■種苗事業 本山町種苗センターでトマト・パプリカ・ナスなどを主体に年間10万本の苗を出荷する。春は嶺北地域の苗の大半を担い夏は県平野部へ出荷している。また、オランダ製の接木ロボットや統合環境制御システムを導入し最先端農業で地域を支えている。 ■特産品普及事業 地域食材の加工品開発や特産品の販売促進活動など、地域全体の6次産業化を目指して取り組んでいます。 ■ホームページ http://www.town-motoyama.jp/ |
本社所在地 | 高知県長岡郡本山町北山甲268-5 |
私と仕事
ブランド米「土佐天空の郷」を軸とした事業展開
農業公社が販売しているブランド米が「土佐天空の郷」だ。「土佐天空の郷」は試行錯誤を重ね、完成したブランド米。消費者の動向調査から始まり、栽培基準を設けて栽培方法のバラつきを抑えるなど、幾多の苦労を重ねて生産までこぎつけた。
生育にあたっては、町内の棚田などで育てる。本山町は美しい棚田の残る町だ。その棚田で丁寧に育てられた米が「土佐天空の郷」となる。と言っても、ただ育てるだけではない。栽培期間中、室戸市の沖合から汲み上げた海洋深層水のニガリを散布して米の旨みを増し、また収穫後も、光センサーにより色ツヤがいいものだけが選別され、粒の大きさも一定以上の大きさが選別される。さらに、食味分析により旨み成分が高いものだけが選別されて、すべての基準をクリアしたものだけが「土佐天空の郷」として市場に出ることが許されるのだ。言うならば、選りすぐりのエリート米だ。
こうした努力もあって、「土佐天空の郷」は2010年、2016年の2度に渡って、全国の食味日本一に輝いている。ここ、本山町で作られる米は日本一美味しい米と言うわけだ。
本山町で作られる「土佐天空の郷」には、二つの品種の米がある。「にこまる」と「ヒノヒカリ」だ。この二種類の米を生産しているのには理由がある。近年の気温上昇を勘案し、「ヒノヒカリ」だけでなく高温障害にも強い「にこまる」を生産していくことを農業公社と生産者団体が開発段階から決めた。「土佐天空の郷」がブランドとして10年後、その先も続いていくことを考えて戦略をとっているという。
「土佐天空の郷」のブランディングも農業公社が中心になって行ってきた。量販店などには販売せず、米の良さを本当に伝えてくれるところにだけ卸している。販売以来、10年間デパートや米穀店などの専門店に卸し、「土佐天空の郷」の美味しさを伝えてくれる販売店にのみ卸し、徐々にファンを獲得してきた。「土佐天空の郷」のブランド化はほぼ完了し、これからは次の展開が必要と6次産業化に取り組む計画があるという。内容はまだ明かせないそうだが、米の美味しさを、もっとたくさんの方に知ってもらえるような事業を検討しているのだそうだ。
私と仲間
本山町農業公社が目指す、攻めの展開
「若い人が次の農業の担い手となれるよう、収入が得られる農業を作らなければなりません。」と本山町農業公社専務理事の和田さんは言う。確かに、農業のイメージは、日の出とともに働きはじめ、日暮れとともに仕事を終える。しかしそれだけ毎日一生懸命働いても収入にならないというのが一般的に思い浮かぶ農業のイメージだ。しかし、そうであっては農業には衰退していく未来しかない。頑張った分だけ稼げる農業への転換が急務である。
これに対して、本山町農業公社はすでに取り組みを始めており、全国で最大級の水田センサーを導入した「スマート農業」を実践している。農業は自然相手。しかし、その自然の中で一番いいものを作るということに、IoTの技術を取り入れることで確実な農業への転換が可能なのだ。こうした取り組みに対して、中央省庁からも熱い視線が注がれており、毎月のように視察を受け入れている現状がある。高知県の山間部にある町が、全国的に見ても最先端の農業を実践する地として注目されている。
さらに、「農業公社の今後を考えると、しっかりとした活動力を持っているところが生き残ることができる時代が訪れる。」と和田さんは言う。本山町農業公社は、利益を追求しながらも地域に根ざした会社であるべき組織である。一方で、予期せぬ自体が起こったとしても、自分たちで運営していけるだけの基盤を作る必要がある。そのためには、当然ながら財力が必要だ。一般的に、こうした地方の一般社団法人というと、財源を賄うだけの財力を持つ団体は少ないだろう。しかし、本山農業公社は違う。地域を守るための「攻めの展開」を常に意識し、行動している。練られた戦略と実行力とで、着実にそうした未来を現実のものとしていこうと努力する姿があった。
私と地域
棚田のある景色を守りたい
山あいに広がる棚田が美しい本山町。その面積の91%が森林というこの土地を、ここに暮らした先人たちが切り開き、耕し、水田を築いてきた歴史ある棚田だ。道具なども十分にない時代。ましてや水田のため灌漑設備を作るのには相当な苦労があったことだろう。本山町にとって、棚田での米作りは産業であると同時に歴史であり、この美しい原風景は文化であると言えるだろう。
しかしながら、本山町でも農業従事者の高齢化が進み、後継者不足も問題となっている。今後も、担い手が一層不足していくことが予想される。耕作放棄地が増えるということは、水田の周辺で育まれてきた里山の文化も失うことにもなりかねない。そういった状況にあって、本山町の産業であり文化である、棚田を維持していくにはどうしたらいいのか。本山町が出した答えは、先述した米のブランド化だった。ブランド化に加えて、最新の技術を取り入れ省力化を図ることにも取り組んだ。次世代へ繋いでいくためには、これまで当たり前に思っていた、農業にかかる労力も見直し、新規参入しやすい環境作りを整備することに目を向けた。こうした取り組みを積み重ねることで、手入れの行き届いた田んぼを増やし、本山町の美しい景観が保たれるというわけだ。
こうして棚田とそこにある文化を維持すると同時に、一般の方にも棚田をもっと身近に感じてもらいたいと、イベントも企画している。棚田コンサートやかかしアートなど、田んぼアートなどを開催し、地域外からもお客さんが訪れる田んぼにしている。この美しい棚田をたくさんの人に知ってもらいたい、それにより地域に活気を取り戻したいという思いからだ。年々足を運んでくれているお客さんも増え、地元の人からもイベントの開催を喜んでもらっているという。